消防団の歴


江戸時代

 江戸時代になると江戸の街の過密化は一気に進み、「火事と喧嘩は江戸の華」とたとえられるくらい江戸の街には火災が多発し、常に火事に対して十分な備えを持たねばならなくなりました。そこで萬治元年(1658年)、幕府は四名の旗本に「江戸定中火之番」を命じ、最初の公設消防である定火消が創設されました。定火消は与力に同心、そして臥煙(がえん)と呼ばれる火消人足あわせて100名強で組織され、江戸城の防火消火に従事していました。
 この定火消の他に、幕府の命により各大名に組織された大名火消が組織されていました。しかし、定火消も大名火消も、江戸城や大名屋敷などを火事から守るためのもので、町家を火から守るための消防組織は確立されていませんでした。
 そこで、享保3年(1713年)に8代将軍徳川吉宗の命を受けた江戸南町奉行大岡越前守忠相が町人のための本格的な消防組織として町火消を創設しました。時代劇で有名な「いろは48組」のがこれにあたります。当時の消火活動は火事現場に水をかけて火を消すよりも、火事の延焼をくい止めるために、火事現場のまわりの家々を取り壊してしまうことを優先したいわゆる「破壊消防」が中心で、一般の町人では難しかったため、町火消は大工やとび職の人が中心になっていました。これが現在の消防団の原点といえるでしょう。現在の「まとい」が確立したのも、町火消が登場してからです。
 余談ですが、忠臣蔵の赤穂浪士が討ち入りの時に火事装束に身を固め、「火消し」にカムフラージュして吉良邸に討ち入ったのは有名な話ですね。
 


纏(まとい)について

 町火消が、組のシンボルとして用いたのが纏(まとい)です。
 纏はもともと戦国時代の馬印(うまじるし)がその原型で、江戸時代に入り太平の世が続くと、戦場での使用に代わって火災現場で用いる標具となりました。この纏を初めて使ったのは、大名火消だといわれていますが、それを一躍有名にしたのは町火消のシンボルとなってからです。
 町火消が誕生して間もなくの享保5(1720)年4月、大岡越前守は、町火消にも纏を持たせ士気の高揚を図りました。これがいわゆる「いろは48組」の活躍もあり、町民の間でも纏は消防のシンボルとして広く認知されるようになりました。
 現在でも消防団のシンボルとして、纏は消防団員の心の支えになっています。



芦屋市消防本部提供



明治・大正時代

 明治維新により、わが国があらゆる面で一大変革をとげると、消防制度についてもこれらの影響を少なからず受けるところとなりました。
 明治5年(1872)、江戸の町火消は「消防組」と改められ、39組に再編成されました。これに併せるかのように、地方の各自治体においても公設、私設入り乱れた消防組が組織されるようになりました。
 明治27年(1894)、それまで全国統一した規定がなく、各地方で内容も組織もバラバラだった消防組を、全国的に統一した組織として確立するため、「消防組規則」を制定し、消防を道府県知事の官掌とし、区域に応じて市町に消防組を設置するものとされました。これにより、神戸をはじめとする23地区に、公設の消防組が設置されました。
 
 一方、いわゆる官設の消防事務は警察組織の中に組み込まれ、東京では明治維新後、東京府(現東京都)、司法省警保寮(現警察庁)、東京警視庁(現警視庁)などと所管が転々と変わっていた消防事務は、明治13(1880)年6月1日、内務省警視局(現警察庁)のもとに創設された消防本部(現在の東京消防庁の前身)が所管することとなりました。
 兵庫県では、明治3年(1870)に、消防人足500人をもって十番組に編成したのが最初の官設消防です。その後は兵庫県でも東京と同様、消防組などの消防組織は警察の管轄に置かれました。
 また、東京・大阪以外の都市に公設消防署を設置するため、大正8年(1919)には「特設消防署規定」が制定され、京都市、神戸市、名古屋市、横浜市の4都市に消防署が設置されました。



昭和時代

 満州事変以後、戦時色が色濃くなり国防の観点から消防体制を含めた総合的な戦時体制における防空対応の組織の強化が唱えられ、昭和14年(1939)「警防団令」が交付され、消防組は消防と民間防空を主軸とした警防団に再編されました。

 また、特設消防署が昭和16年(1941)、尼崎市、西宮市にも設置され、官設消防体制も強化が図られました。

 昭和20年(1945)の終戦により、戦時体制の消防が不必要になり、警察制度の改革により消防と警察は分離されることとなり、昭和22年(1947)の「消防団令」により、警防団は再び消防組織として消防団に再編され、さらに昭和23年(1948)の「消防組織法」が施行され、消防は市町村による自治体消防として従来の消火、警防に加え、予防行政も加えた新しい使命を担い、再出発することすることになりました。




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